般若心経は六百巻の大般若経のエッセンスをたった266字の珠玉の文字に抽出した大変密度の濃い功徳のあるお経です。般若心経は分析的・思索的に『空(くう)』を捉えるのではなく、すべてを幻の如きに見て、分析せずそのままにして「空」と達観することを教えています。また般若心経には「無」「不」が何度もでてきますが、これは様々な仏教の教理も含めた観念的なものに対する執着を、すべて「無所得」(すべて夢・幻のようなもの)であると否定して、人々の頭から消し去ることで、観念の虜(とりこ)となって苦しむ者を救う功徳があります。また世間的な善悪を超えた教えであるが故に、後悔の念や罪の意識に苦しむ者を救う大きな功徳があります。苦しみや患いの多い現代社会において心が曇りがちな我々にとって、般若心経は常に心を生まれたままの白紙にリセットしてくれる有り難いお経です。般若心経にでてくる観自在菩薩とは観音様のことです。観音様が「空の智慧」を行じておられる時にという書き出しで始まります。 |